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コラム

トランプ大統領1セント硬貨の製造を中止


1セント硬貨がなくなる!?

トランプ大統領は9日、「ペニー」と呼ばれる1セント硬貨の製造中止を財務長官に命じたことを明らかにした。 トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)に「あまりにも長い間、米国は文字通り2セント以上のコストがかかるペニーを鋳造してきた。これはあまりにも無駄だ! 新しいペニーの製造中止を財務長官に指示した」と投稿。
「偉大な国の予算から、たとえ1ペニーずつでも無駄を取り除こう」と述べた。 1セント硬貨は1793年に初めて発行された。廃止を巡っては長年にわたって議論が続いている。 経済学者のヘンリー・アーロン氏は2013年「ペニーを廃止しよう。ついでにニッケル(5セント硬貨)も。この通貨の残骸がなければ人生はもっとシンプルになる」と主張。 一方で、1セント硬貨が消費者物価の押し下げにつながり、慈善団体の収入源にもなっているとの指摘もある。
 
欧州連合(EU)欧州委員会は欧州単一通貨ユーロの1セント(約1円)と2セントの硬貨を廃止する可能性を示し、28日に市民から意見募集を始めた。欧州委は調達コストが額面以上に掛かることなどを理由に、現金払いで使える最小硬貨を5セントとすることを検討。来年1月まで意見を募った後、方針を決める。
意見では、財布がかさばるなどの理由で廃止論が優勢だったが、値段の端数が切り上げられ、物価上昇につながることを懸念する声もあった。
 
ユーロ圏19カ国の中には、既にこれら少額硬貨がほとんど使われない国もある。ベルギーでは現金払いの際、セントの一の位を5か0にそろえることを商店などに義務づけている。日本の1円玉についても、調達コストが額面を超えるとして問題視し廃止を唱える意見がある。
 

1円玉と5円玉がなくなったらどんなメリットがあるのか

まずコインが1円、5円、10円、50円、100円、500円の6種類から、4種類に減り、コインが3分の2になる。財布の小銭入れのジャラジャラが減り、厚みが減る。
1日の売り上げのレジ締めも楽になるはずだ。1円単位まで間違いがないか数えるのは大変である。特に個人店では、売り上げを入金したりお釣りを用意したりするのも大変だし、釣り銭用に銀行で両替をするのに枚数に応じて手数料がかかるので、そういう労働コストも減ることになる。
 
1円玉と5円玉がなくなると、銀行も扱うコインの種類が減って確実に業務が楽になる。ATMやセルフレジなどの機械も、コンパクト設計にできるだろう。機械の価格が下がるかもしれない。そして、システムの処理速度も上がるだろう。
ちなみに現在、1円玉を製造するのにかかる製造原価は3円ほどだそうだ。現在のアルミニウム製の1円玉が世に流通したのは1955年で、それから今までなんと4400億枚も作られていて、現在約400億枚が流通しているという。近年は2014年の5%から8%への消費増税に合わせて2億枚近く製造している。
 
5円玉の製造コストは7円で、現在、約110億枚が流通している。1円玉と5円玉を廃止すれば、これらの製造費用が必要なくなる。
そればかりか、このコインを回収することによって金属が回収できる。1円玉は1グラムのアルミニウムが使われているので、もし400億枚回収したら、総重量は4000万キログラム。
アルミの価格は1キログラムあたり260円程度なので、約100億円になる。5円玉は3.7グラムの銅と亜鉛の合金で、地金価格はわからないがこれもスクラップとしての価値があるはずだ。
 
何よりも、電子マネーの普及によって硬貨のニーズは減る一方で、市場でダブついているという。時代も変わったことだし、消費増税をして10%にするならば、1円、5円のニーズは確実に減るだろうから、廃止のいい機会とすべきではないか。
何より期待するのは、日常で使う最も小さな価値のコインが10倍になることが、インフレマインドを生むきっかけになるのではないかという点である。とにかく日本は20年以上もほぼデフレ状態が続いているから、GDPは停滞し、世界経済から遅れをとっている。
平成が始まった30年前にはアメリカの6割、中国の6倍だった日本のGDPは今、アメリカの4分の1、中国の3分の1になってしまった。一刻も早く2〜3%ほどのインフレ率を取り戻さなくては、日本には未来はない。
 
ものの価値が上がっているから、不要な小さなコインがなくなったんだな」という、なんとなくそんなインフレ感覚を国民全体に植え付けること。これこそが景気浮揚策になるのではないか。