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コラム

URで二番目に大きな団地「三郷団地」


埼玉県三郷市。都心から電車で1時間足らずの場所に、UR都市機構が管理する「三郷団地」だ。かつて日本の高度経済成長を支えた労働者たちの家族で溢れていた場所は、今、全く別の顔を見せている。
 
朝の光景は象徴的だ。ゴミ出しの時間になると、行き交う人々の言葉が日本語ではないことに気づく。中国語、ベトナム語、その他のアジアの言語。ここ三郷団地では、すでに住民の多くが外国籍の人々が占めているという。その多くは若者だ。一方で、元から住んでいる日本人の多くは高齢者である。
ここに、現代日本が抱える課題のすべてが凝縮されている。
 
私たちは今、二つの恐怖の間に立たされている。
一つは、見知らぬ人々が増えることで社会が変わってしまう恐怖。もう一つは、働き手がいなくなって国が衰退し、座して死を待つ恐怖だ。
オランダで、非常に興味深い調査が行われている。移民を受け入れることで、国の財政、つまり「税金と社会保障のバランス」がどうなるかを計算したものだ。
議論の中心は「財政的ネット貢献」と呼ばれる指標だ。簡単に言えば、その人が国に納める税金から、その人が受け取る医療や教育などの公的サービスのコストを引いた金額のことだ。プラスなら国が儲かり、マイナスなら国の持ち出しになる。
 
2024年のIZA研究所の研究によると、労働を目的とした移民の場合、一生涯で国にもたらす貢献は約10万ユーロ(約1600万円)のプラスになるという。
若い労働者は病気になりにくく、バリバリ働いて税金を納めてくれるからだ。
ところが、これが労働移民ではなく、難民や、後から呼び寄せた家族となると話が変わる。貢献度はマイナス20万ユーロ(約3200万円)以上の赤字になるという結果が出た。家族が増えれば、医療費がかかる。言葉の壁で高い給料の仕事に就けなければ、納める税金も少なくなる。社会保障の利用が増えれば、当然、国の財政は圧迫される。
今後は、社会秩序と財政の健全化とのバランスを考えた戦略を構築し対応していかなければ人口減少が進むこの国で生きていくことは難しくなるのではないか。