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コラム

日本はバブル経済崩壊後の1990年代以降から賃金水準が30年間変わっていないという事実


日本は、バブル経済崩壊後の1990年代以降から、賃金水準が30年間変わっていないということをご存知でしょうか。また、2023年に財務省が公表した2023年度の国民負担税では、所得における社会保険料の負担割合の見通しが18.7%となりました
 
30年前の社会保険料の負担割合は11.5%であることから、賃金は変わらない一方で国民負担が高くなっていることがわかります。 6月に住民税や国民健康保険料(税)が決定し、その負担の重さでなかなか夏休み気分になれない、という方もいるのではないでしょうか。 本記事では、日本の平均年収の実態と共に、消費税や社会保険料の推移について解説しています。 変わらない賃金と比較して、国民負担がどのくらい変化しているのか確認していきましょう。
 

30年間の平均年収の推移

まずは、過去30年間の平均年収の推移をみていきましょう。 国税庁が公表した「令和3年分 民間給与実態調査」によると、2021年の平均年収は443万円となり、平成23年から平均給与にほとんど変動がありません。また、30年前となる1991年の平均年収は446万6000円であり、過去30年で最も高い平均年収は1997年の467万3000円です。
 
上記の傾向から、1991年から2021年まで平均年収がほとんど変わっていないことがわかります。 その一方で、消費税や社会保険料の負担は年々増え続けており、同じ年収額であっても30年前よりも手取り収入は減少しているのが現状です。 では、消費税と社会保険料の負担割合に変化はあるのでしょうか。 次章で詳しく解説していきます。
 

消費税の推移

前章では、平均年収が30年でほとんど変わっていないことが分かりましたが、税負担の1つとなる「消費税」はどのように変化しているのでしょうか。 消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供といった取引に対して課税される税を指し、消費者が負担し事業者が納付します。 約30年前である1989年に消費税の導入改革が行われ、当時の消費税は3%でした。 以降、徐々に消費税が上がっており、現在消費税は10%(国7.8%、地方2.2%)に引き上げられ、その際「軽減税率制度」が実施されています。 段階的に消費税は増加しており、その負担はこの30年間で約3.3倍となっています。
 

社会保険料の推移

では最後に、社会保険料の推移をみていきましょう。 社会保険料は、下記3つの保険料から構成されています。
 
・健康保険料
・介護保険料
・雇用保険料
 
それぞれの保険料の推移について解説していきます。
 
1. 健康保険料 健康保険は、会社員や公務員などが加入している「被用者保険」と、フリーランスや農業者などが加入している「国民健康保険」の2つが存在します。 被用者保険の1つである「全国健康保険協会」の、2023年と1993年の保険料率は、 30年前の保険料率を比較すると、1.8ポイントほど上昇していることがわかります。
 
2. 介護保険料 介護保険料は、40歳以上になると支払う義務が発生します。 社会全体で介護を支える目的で、2000年に創設されたものとなっています。 2023年と2000年の介護保険料の保険料率は健康保険料と同様に上昇傾向にあり、2023年の1.82%は過去最大の介護保険料率となっています。
 
3. 雇用保険料 雇用保険は、失業・雇用継続等に関する保険の制度となっています。 雇用保険の2023年の労働者負担 (失業等給付・育児休業給付の保険料率のみ)は0.6%となっており、2022年と2023年の保険料率を比較すると0.1%上昇しています。 こちらは、2017年以降変わっていなかったため5年ぶりの改定となり、雇用保険料も保険料率が上昇していることがうかがえます。
 

停滞する賃金と増え続ける税負担

日本の平均年収の実態と共に、消費税や社会保険料の推移について解説していました。 日本の平均年収は、過去30年間でほとんど変わっておらず、停滞し続けていることがわかりました。 その一方で、消費税・社会保険料の税負担は年々上昇し続けており、給与から自由に使えるお金が以前よりも減っていることがうかがえます。
 
近年では、保険料の負担が上昇しているだけでなく、物価の上昇も続いています。 日本国民にとっては、ますます生活が苦しくなる状況が続いています。
国や企業が守ってくれると言う時代は遠い過去の話です。今後は、さらに少子高齢化が進み生産世帯の割合が低くなり負担も増加することが予測できます。
 
現状の所得の中でいかにして効率よく遣えるお金を増やし、将来に備えていくか。先ずは、他人事だと思わず正しい情報を収集し可能な限り選択肢を増やし準備を進めて行くことが大切になります。