円買い介入が行われたにもかかわらず、再び1ドル144円台まで円安が進んでいます。そんななか、日本各地で外国人が行っている新たな“爆買い”の実態が明らかになりました。大量の温水洗浄便座や炊飯器など、かつて、大挙して日本にやってきた、中国人爆買い客。
その後、「爆買い」の対象は「モノ消費」から、日本文化を体験する「コト消費」へと変化。地方にまで中国人観光客が殺到しましたが、コロナ禍でほぼゼロに…。
しかし、歴史的な円安が進むなか、今ひそかに日本で新たな「爆買い」が増えています。 都内の一等地にそびえる高級タワーマンション。内見が行われるということですが、客の姿はありません。 仲介業者が部屋の前に到着すると、取り出したのはスマートフォン。ビデオ通話を開始しました。
「今、部屋のドアの前に着きました。カメラで映像をお見せしますね」 画面の向こうに現れたのは、日本でセカンドハウスを探している40代の中国人の女性。新型コロナの影響で、まだ往来が制限されているため今、増えているのが、こうした「オンライン爆買い」です。真っ先に確認したのは、リビングからの眺望。
一面ガラス張りの窓からは、大きな東京タワーがお出迎え。 部屋の中も、もちろん豪華絢爛です。
「こちらに食洗機があります。あと、こちら、とても特別なところがオーブンです。
普通の部屋には付いてないですよ」 他にも、大きなテレビが備え付けられた風呂や、便座が自動で開閉する最先端のトイレに、収納もばっちりの寝室が2つあります。
86平米、2LDKの部屋。気になるそのお値段は、なんと3億5000万円。それでも…。
女性:「この部屋は、求めていた通りです。ここがいいと思います」
なんと、その場で購入を決定。日本人にはなかなか手が出ない価格ですが、中国の人々にとっては“お買い得”だといいます。
「円安の影響もありますし、中国では不動産の価格が上がりきって頭打ちです。例えば上海や北京だと、6億円~8億円はすると思います」
コロナ後の“中国元”に対する円相場の推移でおととしは1元=15円台だったのが、今は20円台と円の価値が25%も下落。中国の人たちからすると、あらゆるものが「25%引き」になった感覚でしょうか。 中国向けに不動産の売買などを行う会社の代表は、次のように話します。
「顧客は、中間層から富裕層の方々です。中間層は1、2軒くらい買ってくれます。インターネット上で契約をして、オンラインでのお支払いです。」不動産の「オンライン爆買い」は中国の富裕層だけでなく、中間層にまで広がっているといいます。
中国向けに日本の不動産を紹介しているサイトですが、今月から売り出されていた物件の多くが「成約済み」になっています。
中華圏の投資家が利用する日本の不動産情報サイトを開くと、1000万円から1億円を超えるものまで、物件がずらり。利用者の多くは、投資に熱心な30代から40代だといいます。 特に今、円安ということで、中国人にとっては、まさにバーゲンセールみたいな感じで一番の売れ筋は家賃収入や、値上がりが期待できる都心のワンルームマンションですが、億超えの物件も人気です。投資の対象は、地方にまで広がっています。