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コラム

大ヒットゲームに株式取引の要素…それでも日本人は金融に疎い


あつ森が世界売上2,500万本超

新型コロナ感染拡大により、Nintendo Switchのゲームソフト『あつまれ どうぶつの森』が世界売上2,500万本超という大ヒットを記録し続けています。
従来の「どうぶつの森」シリーズと異なり、DIYなどのやりこみ要素が増えたことで、年齢問わず多くのユーザーが熱中しており、Nintendo Switch本体の売上にも大きく貢献しました。
 
シリーズを通してゲーム内に登場する、野菜の「カブ」というアイテムは、現実の株と同様に価格が上下し、株のような金融商品として運用することができます。購入から1週間経過、もしくはカブ価が高かった日付などに本体時間を変更すると、本来の野菜同様に腐ってしまうので、プレイヤーは実際の投資家のように、「カブ価」を予想したり、変動パターンを気にしているよう。
 
このように金融のシステムを取り入れたゲームといえば、モノポリーも有名です。実は、金融教育にもつながるゲームや遊びは、日常にあふれています。しかし多くの日本人は、この事実に気づいてすらいません。それは日本人の金融リテラシーの低さにあるといわれています。
 

日本では投資の割合が極端に低い

日本銀行がまとめたデータによると、日本では欧米に比べ、資産を現金で持っている割合が圧倒的に高い傾向にみられます。2018年の統計によれば、現金・預金の保有割合は日本52.5%、アメリカ13.1%、ユーロエリア33.0%。5割を超えているのは日本だけです。同様に、株式等の投資商品の割合は、日本16.2%、アメリカ53.9%、ユーロエリア31.3%。日本では投資の割合が欧米とは段違いに低いことがわかります。
 

なぜこんなにも差が生まれてしまうのでしょうか。
それは、日本ではそもそもお金、つまり金融や資産運用についての教育が成されてこなかったことが大きな要因だといえます。学校で金融や資産運用について教わることはなく、知識のない親が子どもに教えることもできないので、家庭でもお金の教育がされないまま子は大人になっていくのです。 国が金融立国を目指し、2001年に「貯蓄から投資へ」とスローガンに掲げてからもう20年近く経ち、2016年からは、その趣旨をさらに強めた「貯蓄から資産形成へ」が唱えられているものの、いまだに多くの日本人は投資に対して無関心なままといえるでしょう。
 

それに対し欧米では、小学校からお金に関するカリキュラムが組まれています。たとえばイギリスでは2014年より、公立学校のカリキュラムに金融教育が必修科目として盛り込まれています。

ドイツでは、NPOなどが中心となって、高齢者から若者に直接伝えていく「退職準備学校」ほか、「教師と生徒のための銀行・経済の学校」「貯蓄銀行学校サービス」などの制度があります。 このように欧米では、子どものうちから、金融とは、資産運用とは、どういうものかという基本的な知識を学ぶ土台を与えられています。そして、その知識量の差は「資産形成」にも明確に表れているのです。

次回に続く>